[50代婚活]「もう無理」と泣いた日|彼が初めて明かした過去

皆さんこんにちは
50歳になる年に離婚して
婚活アプリでいろんな男性との出会いを重ねてきた
むくむくです♡
Kさんと出会ったのは、2021年3月。
マリッシュのプロフィールを見た時
「この人、良さそう」
誠実そうな写真に、丁寧な自己紹介文。
同じエリアに住む、年上の男性。
完全に、”優良物件”でした。
でも、実際に会ってみたら——
「……あれ?」
その小さな違和感が、4年半の始まりでした。
4年半の恋物語|第一部
すれ違いから、初めての旅行まで
2021年3月〜2022年6月
① 出会い〜交際初期の「あれ?」の繰り返し
② 嫉妬で一気に遠く→大爆発・告白 ←今ここ
③ 二人なりのルールができ始める〜またやらかす
④ 初めての二人旅へ
ここまでが、私たちが“恋人らしくなるまで”のお話。
楽しみにしていた約束は、なかったことになった
9月28日。
私がずっと「行きたい」と言っていた、東武動物公園。
前日の電話でも、
明日にならないと天気分からないから、考えておくね。天候見て、決まったら連絡するよ
そう言われていた。
だから私は、心のどこかで期待していた。
明日は晴れるかもしれない。
もしかしたら、朝から東武動物公園に行けるかもしれない。
そして翌朝。
カーテンを開けると、気持ちいいくらいの秋晴れ。
雲ひとつない、ピーカンの青空だった。

やった。今日は行ける♡
胸が弾んだ。
今日はきっと、動物を見て、園内を歩いて、いつもとは違う一日を過ごせる。
そう思いながら、期待MAXでKさんからのLINEを待った。
そして届いたのは――
決まったよ。〇〇駅に12時半ね。お店予約したよ

……えっ?
12時半?
東武動物公園なら、朝からじゃないの?
一瞬、意味が分からなかった。
どうやら今日も、昼飲みらしい。
これだけ天気がいいのに。
前からあれほど、「東武動物公園に行きたい」って言っていたのに。
しかも待ち合わせの駅は、
あの若い女性店員さんがたくさんいたイタリアンバルのある駅。
胸の中で、期待が音を立ててしぼんでいく。
・・・嫌な予感しかしない。
まさか、またあのお店じゃないよね?
イライライライラ。
いつもの待ち合わせ前に感じていたあのキュンキュン♡なんて、
この日はカケラもなかった。
楽しみにしていた分だけ、がっかりも大きかった。

改札を出たところで待っていると、向こうからKさんが歩いてくる。
いつもなら、姿を見つけただけで嬉しくなるのに、
この日の私にはもう、
(……呑気な顔したアホ面)
にしか見えなかった。
おはよう。むくのために、お店予約しといたよ

・・・・・・
いつもなら「予約してくれてありがとう」って言うところ。
でも、この日は違った。
飲み込もうとしても、胸の奥に引っかかったままの不満が消えてくれない。
そして私の口から出たのは、

おはよ。今日さ、秋晴れでめちゃめちゃ天気いいよね。東武動物公園、行けたよね?
だった。
うん。晴れたね。でも一日中外だと肌寒いんじゃん?
むくさん、飲む方がいいでしょ?

・・・・・・は?
何言ってるの、この人
夏の暑さがやっと和らいで、
一年でいちばん気持ちいいくらいの行楽日和じゃん。
私が楽しみにしていた気持ちを、
最初からなかったことにされたような気がした。
頭に浮かんだ言葉を、一度グッと飲み込んだ。
……飲み込んだ割には、

そうなんだ。今日のこの天候でお出かけできないなら、もうどこにも出かけられないね
相変わらず、出てきた言葉はストレートだった。
・・・むくさん、ご機嫌斜めだね
(しかも”むくさん”に戻ってるし)
その呼び方にも、距離を置かれたような苛立ちを覚えた。

はぁ〜〜。確認なんだけど。もしかして、この間行った
イタリアンバルじゃないよね?
えっ?そうだけど。むくさん勘いいね。嫌だった?

若いおねーさん、いっぱいいるもんね。そこに行きたいなら、一人の時とか男同士の時に行けばいいじゃん!
・・・むくさん、怒ってるね
怒っている。もちろん怒っていた。
でも、本当はそれだけじゃない。
楽しみにしていた一日を忘れられた寂しさも、
自分より他の女性に目が向いているように感じる悲しさも、
全部が混ざっていた。
重たい空気のまま、お店へ向かった。
「怒ってるね」——他人事みたいな一言が、最後の引き金になった
私としては、ダブルでショックだった。
ひとつは、楽しみにしていた東武動物公園を忘れられたこと。
もうひとつは、その代わりに選ばれたのが、
あの”若いおねーさんだらけの店”だったこと。
この空気を、私から和らげるつもりはなかった。
だって、彼が自分で蒔いた種。
今日は自分で何とかしてもらいましょう。
動揺したのか、Kさんは一本道を間違えた。
あれ?こっちでよかったっけ?

ううん。この間ここ通ってないから、一本違うかも?
普通の会話には、普通に答える。
ケンカがしたいわけじゃない。
ただ――
もし今日も、若い店員さんに同じことをしたら。
その時は帰ろう。
そう決めていた。
無事にお店へ到着すると、前回とは雰囲気が違っていた。
この間はあんなに混んでいて、女性店員さんもたくさんいたのに、
今日はお客さんもまばら。ホールにいるのも男性店員さんが二人だけだった。
正直、ホッとした。
今日はこれ以上、嫌な思いをしなくて済みそう。
けれど、安堵した直後、別の違和感が胸に浮かんだ。

いや。こんなのダメじゃん
今日は”若いおねーさんがいないから大丈夫”。
若いおねーさんがいたらダメ。
そんな状態では、私が安心できるかどうかが、
店員さんの存在に左右されてしまう。
それは、何の解決にもなっていない。
いくつか料理を注文して、ビールで「お疲れさま」の乾杯をした直後だった。
今日はこの間と違ってお客さん少ないね。だから、おねーさん達も今日はお休みかね

・・・・・・。
その一言で、せっかく少し落ち着きかけていた気持ちが、また一気にざわついた。

そこが気になってしょうがないんだね。そりゃそうだよね。それ目当てでこの店にしたんだもんね
あー、違う違う💦色々探したんだけど、お酒出してる店が本当になくて

じゃあ、おねーさん達がお休みとか関係ないじゃん
うん。関係ないね……。むくさん、怒ってるね
その言葉だった。
何、この他人事みたいな言い方。
まるで、私が勝手に機嫌を悪くしているみたいだった。
今まで我慢していたものが、一気に溢れた。
そうさせたの、Kさんじゃん
涙が止まらない。「私、こんなに我慢してたんだ」
自分でも驚くくらい、涙がポロポロ落ちてきた。
怒っているはずなのに、先に出てきたのは涙だった。
本当に今日、おねーさん達いなくてよかった。
一緒にいる男性がヘラヘラ若い子に絡んでるの
私、恥ずかしいから・・・
いい歳したおじさんが、みっともないよ
あ……ごめん。本当に、そういうつもりじゃないんだ
じゃあ、どういうつもりなの?
ナンパみたいなことして
他にどんな意味があるの?
Kさん、毎回”若いおねーさんが”って
そればっかりじゃん
そして私は、今まで繰り返されてきた出来事を、ひとつずつぶつけた。
初デート。
店先にいた若い女性二人組に、「隣だったら奢ったのに」と言ったこと。
その後のデートでも、女性店員さんを見つければすぐ、
「おねーさん可愛いね」「大学どこ?」と絡んでいたこと。
映画を見に行ったあの日。
私とは全然会話が続かなかったのに、やっと口を開いたと思ったら、
「若いおねーさんに、俺の鍛えてる姿見せたい」と言ったこと。
ひとつひとつは、Kさんにとって軽い冗談だったのかもしれない。
でも、私の中には、そのたびに小さな傷が残っていた。
それを私は、「せっかくのデートだから」「空気を悪くしたくないから」と、見ないふりをしてきた。
これのどこが”違う”の?
涙が止まらなかった。
私、今日、東武動物公園楽しみにしてた。
私、今まで自分から”ここ行きたい”とか
“これ食べに行きたい”とか・・・
ほとんど言ったことなかったよね?
うん。むく、言ったことない。
だから今日、本当に行きたかったんだね。
ごめん。配慮が足りなかった
私、Kさんも私のこと好きでいてくれてると思ったから
付き合いたかった。でも・・・・・・
そんなに若い子ばっかり気になるなら
若い子と付き合えばいいじゃん

本当は、責めたいだけじゃなかった。
私はただ、私を見てほしかった。
私との時間を、私との関係を、ちゃんと大切にしてほしかった。
「本当のこと、言うね」——彼が初めて過去を語り始めた
するとKさんから、想像もしなかった答えが返ってきた。
ごめん。調子に乗ってた
そして――
前に”昔付き合ってた人が二股する人だった”
って聞いて、むくはそういう軽い男が好きなんだと思った。
だから俺も、そういう男を演じてた

・・・・・・え?
一瞬、涙も止まりそうになった。
そんな理由だったの?
私が好きだと思っていたから、わざと軽い男を演じていた?

いや……普通に考えてよ。
付き合ってる相手が横にいる時に
他の女性を褒めたり、ジロジロ見たり
声かけたりしてたら嫌に決まってるじゃん

私、こんなに傷ついてまで付き合いたくない
Kさんは何度も頭をさすりながら、
あ・・・本当に、むくのこと大好きだし。
この間も突然呼んだのに来てくれたし
俺、本当に調子に乗ってた
そして少し黙ったあと、
むくの話聞いてたら・・・
俺、やってたね。本当、恥ずかしい。
いい歳して、声かけられた方だって嫌だよな
そう言ってから、Kさんは急に、それまで見せたことのない顔になった。
ふざけた様子も、軽口も消えていた。
本当のこと、言うね・・・

そこから彼は、元奥さんとの離婚について話し始めた。
会社から帰宅すると、部屋はもぬけの殻。
給料が入ったばかりの預金通帳も、金目のものも、すべて持って行かれていたという。
当時、自分名義のクレジットカードすら持っておらず、
次の給料日まで使えるお金は、財布に残っていた数枚の千円札だけ。
水道光熱費すら払えない。

精神的にも追い詰められ、髪は抜け、大きな円形脱毛までできた。
やがて給料が入り、生活自体は落ち着いた。
でも今度は、一人になった寂しさに耐えられなくなった。
そして彼が向かったのが、キャバクラだった。
彼女達がお金目当てだと分かっていながらも、
寂しさを埋めるために通い詰めたという。
当然そんな関係にもどんどん疲れていった。
そのうち精神的なものからなのか、男性として身体が機能しなくなってしまったという。
その後、仕事関係で知り合った女性と交際したこともあった。
でも今度は、そのことを必死に隠しながらの交際。
当然、そんな関係もうまくいかず、数か月で別れてしまったらしい。
そんなことを繰り返すうちに、彼は、女性の気持ちそのものを信じられなくなっていた。
女性に近づいても、どうせ裏切られる。
どうせ本気ではない。
そんな諦めや不信感を、彼は軽口や女遊びのような態度で隠していたのかもしれない。
だからさ・・・
むくが来てくれたのが、本当に嬉しくて
シーン――。
私も、しばらく何も言えなかった。
Kさんがそんな過去を抱えていたなんて、知らなかった。
少しだけ、彼の言動の理由が見えた気がした。
でも。
理解することと、許すことは別だった。
理解することと、許すことは別だった
だからって……私が隣にいるのに
他の女の人に声かけていい理由にはならないよね
また涙が落ちた。
離婚のことは、本当に大変だったと思う。
でも、そのあとキャバクラを選んだのはKさんじゃん。
向こうだって仕事だし。寂しかったから若い女の子のところに行ったのも
自分が選んだことでしょ?
それで私を傷つけていい理由にはならない
それまでは、一緒にいる時間を楽しくしたくて、
空気が悪くならないように、私なりに気を遣っていた。
でも、この日だけは違った。
Kさんの過去を知っても、私は自分の傷をなかったことにはできなかった。
この時ばかりは、彼より自分の気持ちを優先した。
自分でも驚くくらい、涙がポタポタ止まらなかった。
私、こんなに我慢してたんだ。
こんなに傷ついてたんだ。
初めて、自分でも気づいた。
付き合っているのに不安で、何が正解か分からなくなっていた。
あの頃の私が感じていたモヤモヤの正体は、こちらの記事でも整理しています。
うん。むくを傷つけていい理由になんかならない
Kさんは静かに言った。
傷つけて、本当にごめん。
でも・・・むくが俺のこと本当に思ってくれてるんだって分かった
泣かせてごめんね。
もう泣かせないから
その言葉は、それまでの軽い冗談とは違っていた。
私は鼻をすすりながら、

・・・分かった。
いっぱい吐き出したから
もうスッキリした。でも・・・
もうこういうのやめてね
うん。ちゃんと大切にするから
その言葉を、この時の私は信じた。
もちろん――
これでKさんが、翌日から別人のように変わったわけじゃない。
長年身についた考え方も、私とはまるで違う価値観も、そんな簡単には消えなかった。
このあとも私は、何度も(いや、そうじゃない!!)と叫びたくなることになる。
でも、この話し合いを境に、ひとつだけ変わったことがあった。
私は初めて、Kさんに「嫌なものは嫌」と本気で伝えた。
期待していたことも、悲しかったことも、恥ずかしかったことも、
全部、自分の中にしまい込まずに伝えた。
そしてKさんも初めて、自分のしてきたことを認め、私の言葉を受け止めた。
過去を知ったから、すべてが許せたわけではない。
でも、彼がなぜそうなったのかを知ったことで、
私たちは初めて、表面の軽口ではなく、それぞれの傷や不安に触れた。
たぶん私たちはこの日から、
“どちらかに合わせる恋”ではなく、
違う二人が、違うまま向き合いながら、二人なりの付き合い方を作る恋を始めたんだと思う。
東武動物公園には行けなかった。
それでもこの日、私たちは初めて、お互いの心の奥にあるものを見た。
――とはいえ。
次に私たちを待っていたのは、
まさかの「食べるものでケチになるな!!」事件だったのだけれど💦